（１行目）私の速記は、世にいう速記ではない。どちらかというと、エセ速記である。エセ速記の意味は速記者一般が習得する速記記号ではなく、急がば回れから編み出した急がばマルからの創作記号だからである。
（２行目）なぜそういう記号を創作したかというと、言葉の中の妙チキリンなものがあるのに気がついたからである。そのために、言葉のニアンスが書けるように速記文字を発明したのである。したがって一般の速記文字より速度は落ちる。落ちた分だけニュアンスがつかめる。